今日おすすめしたい映画は、2015年の映画「スポットライト 世紀のスクープ」です。

映画「スポットライト 世紀のスクープ」あらすじと作品紹介

まずは映画「スポットライト 世紀のスクープ」の作品紹介をします。

映画「スポットライト 世紀のスクープ」の出演者

  • マーク・ラファロ – マイク・レゼンデス
  • マイケル・キートン – ウォルター・”ロビー”・ロビンソン
  • レイチェル・マクアダムス – サーシャ・ファイファー
  • リーブ・シュレイバー – マーティ・バロン
  • ジョン・スラッテリー – ベン・ブラッドリー・Jr.
  • ブライアン・ダーシー・ジェームズ – マット・キャロル
  • スタンリー・トゥッチ – ミッチェル・ガラベディアン

映画「スポットライト 世紀のスクープ」ネタバレなしのあらすじ

2001年夏。マサチューセッツ州ボストンにある新聞社「ボストン・グローブ」に新編集長としてマーティ・バロンが就任する。

マーティは、新聞社の取材犯であるチーム「スポットライト」に、ゲーガン神父の子供への性的虐待事件を取材するように求めた。

その事件は、6つの教区で30年間にわたり、合計で約80人の少年少女に性的虐待を繰り返していた神父による事件だった。

教会は事件を全面的に否定し、終幕したかに思えた事件である。

「スポットライト」の記者であるマイク・レゼンデスは当時の担当弁護士であるガラベディアンに会いに行くが、「変人」とうたわれた彼は親身にならずに追い返されてしまう。

チームは、疑惑の神父に対する調査と並行して、被害者サヴィアノに話を聞くことに。

彼の話ではボストンだけで13人の神父が性的虐待を行っており、世界的に見ればどれだけの神父が犯罪に手を染めているのか分からない、というのである。

しかもそれらは強大な教会の力によって隠され続けていた。 想定をはるかに超える大掛かりな事実が発覚してゆく中、チーム「スポットライト」は取材を続けてゆくのだったが・・・

 

映画「スポットライト 世紀のスクープ」感想と解説【ネタバレあり】

それではここからはネタバレありの感想です。

とにかくですね、私はこういう社会派な作品が好きで好きでしょうがないので、皆さんにはぜひ一度見ていただきたいなと思います。

映画「スポットライト 世紀のスクープ」の演出と脚本の見事さ

先ほどからちょくちょく言っているのですが、この作品はとにかく演出と脚本が素晴らしいんですよね。

凄くおとなしくて低予算で制作された(かもしれない)作品なんですが、とにかく脚本が素晴らしくて一瞬も飽きさせないクオリティとなっています。

それは、確かに実話が元になっている社会派ドラマではあるのですが、一方で事実が徐々に明らかになってゆく様子などはミステリータッチにもなっていて緊張感があります。

映画の脚本の良さに加えて、何といっても演出の良さも光ります。

とにかくこの映画は従来のアメリカ映画のように、いちいち大げさに緊迫感を演出したりという事がまずありません。 全編を通して見事なまでの客観性を維持しています。

ぼーっとしている人だったら、割りと重要なシーンやセリフを見逃してしまうのかもしれないなと思うところもあるし、そもそも割と人名や内容が複雑なので分かりづらいと感じる人もいるかもしれません。

が、重要なポイントではしっかりと演技と演出で抑揚をつけているのも見どころの一つです。

私がこの映画で一番好きなシーンは、カトリックの性的虐待問題を専門に研究している心理学者サイプとチームが電話で話をするシーンです。

このシーンで初めて「スポットライト」は、加害者が13人と言った少数ではなく、実際は神父の6%、ボストン全体としては約90人が小児性愛者であるとわかるシーンです。

素晴らしいのは、この映画がワンカットで撮影されている事。

電話のクローズアップからだんだん引いて役者たちの演技を見せてゆくわけですが、映画の中で最も衝撃を与えるこの事実に対する、彼らの衝撃を受けた演技のすばらしさが際立っており、傑出していると感じました。

アメリカ映画では、特に社会派な作品や事実を元にしている作品などで、クライマックスで主人公たちを称えるようなヒロイズムがアピールされることがうんざりするくらい多いのですが、この「スポットライト 世紀のスクープ」では最後まで客観性が貫かれており、過剰にチームの名誉を盛り上げようとする鬱陶しい演出はありません

なので、最後までかなりおとなしい作品ではあるのですが、その分映画の緊張感や迫力は維持されたまま終わります。

映画「スポットライト 世紀のスクープ」が描くカトリック教会の闇

映画でも描かれているのですが、アメリカの地方都市は特に現代でも教会が地域と密接な関係を維持しています

特に貧しい家庭の子供にとっては、教会は何よりも大切な存在だと言われることがあります。

宗教が根ざしていない日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、「教会育ち」という言葉はアメリカではよく聞く言葉だと思います。

一方で、映画でも指摘があった通り、強大にして絶対的な力を持っている教会の過ちを市民や子どもたちが問題にすることは非常に難しいのでしょう。

今回の場合、特に被害がカトリックに集中していたことの背景としては、カトリックの司祭は妻帯も性交渉も禁止されているという点ですよね。

私は無神論者なので、こうした宗教上の決まりや掟に関してはかなり不信感があります。

日本には私と同じように、特定の宗教を持たずに無神論を持っている人もいると思いますが、不可知論者のほうが多いかもしれません。

そうした無神論者や不可知論者は、多くの戦争や歴史的な犯罪が、宗教上の問題から発生している事実を思うと批判的にすらなってしまうかもしれません。 実際に私も、宗教に対してかなり批判的な面もあります。

とはいえ、我々のように無神論者や不可知論者がこの映画のような問題を目の当たりにして、「本当に宗教って最悪だな」と思うことがあれば、それは想像力の欠如も甚だしいと言わざるを得ません。

宗教がいまだに多くの人々を助けていることを考えれば、それほど単純な問題ではないことは火を見るよりも明らかです。

私自身、宗教を否定する一方で、神を信じる事って実は人間にとってはある程度必要なのかもしれないな、とも思います。 深い理由や根拠があるわけではありませんが、肌感覚として何かの宗教を信仰している人はやはり「いい人」多いからです。

日本人に他人に冷たい人もしくは無関心な人が多いのは、信仰心が他の国に比べて圧倒的に薄いからなのではないかと思うこともあります。

アメリカでは地域によりますが、今現在も地域には信仰心が根付いていると言われています。 そんなアメリカでは慈善事業なども盛んだし、基本的に「他者に優しくしよう」という道徳教育が根付いているように感じるんですよね

人の死などの悲劇に対しても、死んだらすべて終わりという考え方よりも、「天に召された」と感じる方が立ち直りが早いと思います(すべてではないと思いますが)。

心理学者で司教のサイプの話が非常に印象的で、彼はカトリック教会の性的虐待の問題を目の当たりにしてもまだ信仰心を失っておらず、「問題は教会のシステム」であり「宗教そのものではない」と切り離して考えています。

結局はそれは重要な着眼点で、宗教そのものよりもとりあえず6%の変態神父とそれを隠している権力におぼれたバカたちが問題なのだという事です。

だからこそ、このような事件はしっかりと報道されなきゃいけないし、それらを明るみに出したスポットライトは本当に素晴らしいと思いました。

 

まとめ

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というわけで、今回は第88回アカデミー賞作品賞を受賞した「スポットライト 世紀のスクープ」を紹介していきました。

この映画に出てくるチーム「スポットライト」の奮闘する姿には感動するばかりなのですが、この映画自体を作った製作陣も本当に素晴らしいと思います。

このように、ただただいい映画を製作したという一心で作られた映画が私は本当に大好きだし、本当にいろいろな方にお勧めしたいと思います。